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2008-07-04
金融当局は身動きがとれなくなった
米利上げ予想の「異常性」
雇用統計は、金融市場でも最も注目される統計だが、金融政策への影響も大きいことで知られている。とくにこれまで失業率上昇中に利上げとなったことは基本的になかったという。
その失業率は、6月初めに発表された5月分が前月の5%から一気に5.5%へ急上昇となった。上述のように、失業率上昇中の利上げは基本的に前例がないということでは、当面の利上げはまずありえないということになっていただろう。
また、FRBでは、年末時点の失業率の予想を中心5.5%程度、レンジ5.3―6%としている。その意味では、失業率はFRBの予想の範囲内での悪化となっているが、一方で決して予想より良いということではないだろう。
6月25日FOMC前まで、金利市場は年内3回程度の米利上げを織り込んだようになっていた。
ただこれまで見てきたことからすると、それはこれまでの常識からは考えにくいことだった。これまでの常識からすると、失業率が5.5%を大きく下回る動きにならないかぎり、年内利上げは難しいだろう。
このように、失業率急上昇の中で早期利上げを織り込むといった具合に、この間金融市場がある意味で非常識ともいえる動きになってきたのは、FRB等によるインフレ警戒の強調が影響したことだろう。景気不安が残る中でも、一方でインフレ対策のために利上げを急がなければならなくなっていることも事実だろう。
景気後退と物価上昇の同時進行をスタグフレーションというが、そのリスクにさらされているFRBの立場は、2000年当時のECBに似ている。スタグフレーション懸念の中では、金融当局は身動きがとれなくなる。
2000年のユーロ圏はまさにそういった状況となり、ECBは当初こそユーロ安けん制の「口先介入」に動いたが、やがて実際には動けないことを見透かされた形でユーロ安が止まらなくなっていった。
現在のFRBとドルの置かれている状況は、この2000年当時のECBとユーロの置かれた状況に似ているだけに、いずれは口先介入の効果が限界に達し、協調介入を催促するドル一段安へ向かっていくリスクは頭に入れておきたい。=蒼い稲妻=
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