ダウ運輸株指数に注目
米国景気は底入れした
ウォーレン・バフェットの最近
三兆四千億円の資金を保有
ダウジョーンズ運輸株指数というのがある。ウォールストリート・ジャーナル紙の創立者チャールス・ダウが1884年に考案した指数で、運輸株9銘柄で構成されていた。その歴史はダウ平均より古い。当時は鉄道株など運輸株が人気株で、相場を先導する人気セクターであった。
ダウはジャーナリストであり、同時に自己資金で株式投資の売買を行っていた。それだけに彼が考案した指数は、実践家が株式を売買する場合に相場の動向を判断するのに必要な数字ばかりであった。
運輸株の業績は景気のバロメーターであり、景況感を判断するのに信頼性が高い。経験則によると、景気の先行指標でもあり、NYダウ平均よりも相場の動向に先行することが多い。
1896年には採用銘柄数が20銘柄になった。現在は鉄道、空輸、トラック、ロジステックなどの関連株である。
ことし6月には史上最高値をつけた。7月初めに底入れした後、着実に底値を切り上げてきた。ダウ平均は昨年10月に史上最高値をつけたあと、今年7月初めにベアーマーケットにはいり、現在は底値圏での推移であるが、運輸株指数は上昇トレンドにはいった。
この指数をみるかぎり「米国景気は底入れた」ことを暗示している。常識では首を傾げたくなるが、米国経済ではモノ、人の動きに活気が出てきたことになる。この種の見方はコンセンサスではないが、ケインズの投資理論によると、「買い」のタイミングを示している。
このダウ運輸株指数の動きをみて感じるのは世界一の富豪といわれるウォーレン・バフェットの最近の動向である。
昨年春にバーリントン・ノーザンサンタフェという鉄道株に大量投資をして大株主になったが、同時にユニオン・パシフィックの株にも投資した。最近、ユニオン・パシフィックの持ち株を2倍に増やしたという届けがSECに出された。いずれもダウ運輸株指数に採用されている銘柄である。
最近、ウォール街では原油価格の高騰で鉄道による貨物輸送に競争力が出てきた。鉄道株の業績が軒並み好調である。バフェットの動きをみて機関投資家やヘッジファンドが、鉄道株にちょうちん買いを入れ始めた。
バフェットは先週の金曜日にCNBCに生出演して「金融市場の混乱が金融界と景気に影響を与えている。すでに景気はリセッション入りしている。向こう5カ月の景気はさらに悪化するが、それを超えた向こう5年間には経済は確実に現在よりも大きく拡大している」と語った。
現在3兆1000億円(3兆4000億円)の資金を保有しているが、それで株式を買い増している。運輸株のほか、長年、保有してきたアメリカン・エキスプレス、ウェルズ・ファーゴなどの金融株である。彼の投資のスタンスは5カ月先を見据えている。
ダウ運輸株指数が相場の先行指標として息を吹き返してきたことに注目したい。
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